杖の種類と選定のポイント
介護用品の中でも比較的身近な杖は、特に介護が必要なくても使われることがあるものですが、その正しい選び方は奥が深いものです。
移動の際に体を支えて補助する杖ですが、その選定を間違えると、使い続けることで却って身体を悪くしてしまうことにもなり兼ねません。
正しい知識を身につけて、最適な杖で行動範囲を広げましょう。
杖の使用全般について言えること
杖は通常患側(カンソク:麻痺や障害のある部位側)とは反対の手(健側)で持つのが基本です。
杖はまっすぐな物で、適度に重さのある物の方が歩く時に安定します。
替えゴムは定期的に交換して下さい。(すべり止めが効かない、割れるなどで転倒や事故の恐れ)
杖の種類
杖には握り部や脚の形状から、大きく分けて6種類あります。
- T字型杖
- C字型杖
- ロフストランドクラッチ(カナディアンクラッチ)
- 松葉杖
- 多点杖
- プラットホームクラッチ
杖の形状別特徴
T字型杖(L字型杖)
一般的な杖。比較的安価なもので介護保険は適応外。C字型杖(ステッキ型杖)よりも体重をかけやすいがあくまで杖がなくても歩行ができる人の歩行補助程度。握るときに人差し指と中指の間に杖のフレームを挟んで体重をかけるようにする。
*適している方*
下肢の支持性が低下している方、虚弱高齢者、脳血管障害による下肢の支持性低下。
C字型杖
一般的な杖。比較的安価な物で介護保険は適応外。持ち手がまるいので腕にかけて、その他の動作ができる。軽度の片麻痺の障害者には便利。体重をかけると杖がたわんでしまうことがあるので、体重をかけて使用するには向かず、歩行リズムをとるために適している。
多点杖(オフセットL字型)
介護保険(レンタル)適応。1本杖よりも着地面積が広く安定している。体重をかけても倒れない。右用・左用がある。
構造上、底面の凸凹に影響を受けやすく、やや重い為、屋外での使用は制限される。
*杖の合わせ方*
杖先を杖の持ち側と同じ爪先の前方20cm(肘を30-40度屈曲させた位置)が目安。
*適している方*
脳卒中後遺症の片麻痺の初期歩行訓練、高齢者の変形性股関節症、関節リウマチなど。
松葉杖
介護保険(レンタル)適応。骨折など、足を怪我した人が使うイメージがあるが、体のバランスが悪い方、足の長さが左右で違う方は楽に移動ができる。
上肢が健常で一定の筋力がありバランス感覚がある事が必要。
脇の下を圧迫するため、血流が悪くなり、手のしびれが起こることも有るので、脇当ての高さは腋窩よりお2-3cm下に来るように調整し、歩行時に脇をしめて脇当てを挟むようにして体重を支えるようにする。
転倒のリスクは高い。リハビリの際は足に体重をかける訓練の為、2本使わず1本やロフストランドクラッチを使用する事もある。杖をもつのは健側で使用する。
グリップの種類は、ウレタン製、木製、樹脂製の3種類。
*杖の合わせ方*
身長-40cmが目安。脇当ては腋窩の2-3cm下に来るように調整。
ロフストランドクラッチ・エルボークラッチ(前腕固定型杖)
介護保険(レンタル)適応。握りと前腕の2点で体重を支えるため、握力が弱い、手首に力が入りにくい方に適応。カフの形状として、U字カフとO字カフがある。U字カフは腕にはめやすいが安定感に欠ける、O字カフは固定性は強いが転倒した際に腕から外れにくいので事故に繋がりやすい。
*適している方*
下半身麻痺、捻挫、股関節症、片麻痺、下肢切断、下肢に体重をかけられない骨折など。
プラットホームクラッチ(肘支持型杖)
介護保険(レンタル)適応。リウマチ杖ともいう。腕で体重を支えるため、リウマチや手指・手関節に強い負荷をかけられない場合や、障害があり自由に伸ばせない肘関節などに伸展制限のある関節炎患者など向けだが、やや重く、肩関節などへの負担があるため、実用性の検討が必要。
杖の長さ
杖は次のいずれかの長さのものを使いましょう。
- 身長÷2+2~3cm(身長の半分より2~3cm長いもの)
- 肘を曲げた角度が30度になる長さ
- 床から大腿骨の大転子(足の付け根)までの長さ
- 腕を垂直におろしたときの手首の高さ
※腰が曲がっている方など、無理なく伸ばせる範囲で背筋をのばし、腕を下げ、肘を曲げやすいところまで曲げるその時の高さがちょうどいい目安。
当店での杖の選び方
- ご自分に適した杖の形状を特定しましょう。
- 杖の商品一覧をご覧ください。
- 形状が 1. で特定したものに近い杖の画像をクリックしましょう。(その杖の詳細やデザインの種類が新規のタブやウィンドウに開きます)
- 商品一覧の画面は隠れた状態で開いたままなので、それを再び呼び出して、別のめぼしい杖の画像から詳細を新たに開きましょう。
- 複数のめぼしい杖のページを切替えながら比較し、自分に合った杖で一番好みのものを見つけます。